列ベクトルのケット |x⟩ を、とある線形性がある線型作用素(関数や行列など)が、
なんらかの目的で作用させる行列Aである場合は、
列ベクトル |y⟩ が得られる場合、通常では
y = Ax
と記述しますが、ブラケット記法では
|y⟩ = A|x⟩
となります。
行ベクトルのブラ〈x| = (x1,x2,....,xn)、〈y| = (y1,y2,....,yn)の内積をIとした場合、通常では
I = x・y = (x1,x2,....,xn)・(y1,y2,....,yn) = Σxn・yn
と記述しますが、ブラケット記法では転置を表す記号†(ダガー)を用いて
I =〈x|y†⟩
となります。
行ベクトルの x = (x1,x2,....,xn)を線形作用素Aで作用させて、
さらにxで内積を取った結果をIとしますと
I =〈x|A|x†⟩
となります。
さらにブラケット記法が持つ柔軟な表現と重ね合わせの例を示します。
あるスピン角運動量を持つ量子(電子)等が、50%の確率で上向きのスピン、
50%の確率で下向きのスピンの状態にあるとします。
スピンが上向きか下向きが分かるのは、観測された時とします。
上向きの状態を示す表現を、ケットを用いて |↑⟩
下向きの状態を示す表現を、ケットを用いて |↓⟩
とすると、スピンが確定していない状態の対象量子のケット |ψ⟩ は、
確率50%(0.5)の上向きの状態と、確率50%(0.5)の下向き状態を合成して、
確率100%(1.0)の状態を示すものとなります。
この合成を「重ね合わせ」(英:superposition)と言い、
その結果により|ψ⟩ は、上向きのスピンの可能性と、
下向きのスピンの可能性を同時に含むものになります。
式で表すと以下の様になります。
|ψ⟩ = 1/√2(|↑⟩) + 1/√2(|↓⟩)
なぜ1/2で掛けないで、1/√2で掛けるかは、
別の項目で説明します。
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