量子的重ね合わせと期待値の評価
状態の重ね合わせ

量子力学で言うところの量子は、複数の状態の可能性を持つことがあります。
先に述べたブラケット記法についてでは、量子の上方向のスピンと、
量子の下方向のスピンが50%ずつの可能性を持つときの式は以下の様になります。

|ψ⟩ = 1/√2(|↑⟩) + 1/√2(|↓⟩)

一般的には、量子が複数の状態(|ψ1⟩,|ψ2⟩,...,|ψN⟩)
の可能性を持つときは、係数(c1,c2,...,cN)を
考慮した線形結合になります。すなわち

|ψ⟩= c1(|ψ1⟩) + c2(|ψ2⟩)+...+cN(|ψN⟩)

となります。
SuperpositionAIでは、目的の部分の画像を二値化して、
白の部分を |↑⟩ 、 黒の部分を |↓⟩ 、 として、それぞれの係数をcw、cbとすると、

|ψ⟩= cw(|ψ⟩) + cb(|ψ⟩)

としています。

ボルンの規則と確率

ボルンの規則は1926年のボルンの論文で示されました。
この規則では、ある量子に対するシュレーディンガー方程式から得られる
波動関数の絶対値の二乗は、量子の存在確率(密度)を示すという解釈が示されました。
また、状態ベクトルにも同様に二乗の絶対値は量子の存在確率(密度)を示されました。
一般的に波動関数または状態ベクトルは複素数であります。すなわち

〈ψ|= (a,bi) (iは虚数単位)

となります。 これに対して絶対値の二乗を得る場合は、
(a,bi)の複素共役を掛けることになります。
〈ψ|の複素共役を|*ψ⟩とすると、絶対値の二乗は

|ψ|2 = 〈ψ|*ψ⟩

となります。
SuperpositionAIでは、先に述べた |ψ⟩ の複素共役を掛けて絶対値の二乗を得る事にしています。

対象画像の評価によるクラスの決定

SuperpositionAIはクラス毎の二値の複数の学習画像から、
クラスごとの状態ベクトルを作成します。
これを学習済みデータの構築と言います。
また、評価対象の二値画像から評価対象の状態ベクトルを作成します。
クラスごとの状態ベクトルをψn
評価対象の状態ベクトルをφとする。
φは二値画像の状態ベクトルなので、二通りの状態しか持ちません。すなわち

φ=(1,0i) 実数部分だけ
φ=(0,1i) 虚数部分だけ
φがψの何を持っているかは、φとψの内積を取る事で、
実数部分だけと、虚数部分だけを表現する事が出来ます。
それが、φのψに対する評価にします。すなわち内積をInとすると

In = 〈φ|ψn

目的のクラスごとの類似度を示すスコアを Pn とした時、
Pnを求める式はIの絶対値の二乗とすると、

Pn = |In|2

Pnについては、0~1の範囲に収まるように正規化を施します。
Pnは、φがψnである確率に比例します。
この操作を学習済みデータの全てのクラスに施します。
この時、最大のPを持つクラスを評価対象のクラスとします。
ただし、最大のPがユーザが設定したしきい値未満の場合は、
Unknown(不明)クラスとして処理します。


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